一匹少女が落ちるまで
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「お母さん、お父さん!」
次の日の土曜日のお昼前。
学校の日よりゆっくり起き、ふとリビングに目をやると普段は仕事でいないはずの2人が、ソファで座ってコーヒーを飲んでいた。
「何してるの…」
「あなたを待ってたのよ紫月」
「早く着替えてきなさい」
どういうこと?
私は、疑問を抱きながらうなづいて、自分の部屋に向かう。
昨日の夜、園子と2人で、お母さんとお父さんに理央と理汰さんの話をした。
理央がバスケを辞めた理由。
突然図書室にきた理由。
理汰さんが部屋に引きこもってる理由。
昨日、私たちが2人の家に行った理由。
お父さんとお母さんはずっと黙って聞いてくれていた。
久しぶりに話したのに、その内容が理央の話だなんてなんか変な感じがしたけれど。
部屋から出て来ると、星花や双子たちが起きてて、お母さんは「後もう少し2人のことよろしくね」と星花の頭を撫でた。
「理央くんのうちに行くわよ」
そして、着替えたばかりの私の目をまっすぐ見て力強くそう言った。