一匹少女が落ちるまで
*
*
「…ここ」
お父さんの運転した車で、理央の家の前にやってきて、私は控えめに指を指す。
「…よし。わかった」
「お父さん、理央の家に行ってどうするの?」
「フフッ。大人の話だよ」
「大人…」
「いいから来なさい」
お父さんはそういうと、私とお母さんを引き連れて、理央の家のチャイムを鳴らした。
理央のお父さんが出て来たらどうするのよ。
私の顔を見て、また追い出すに決まってる。
──────ピンポーン
私の心配なんかお構いなしに、お父さんはチャイムを鳴らした。
『───はい』
インターホンから女の人の声が聞こえた。
理央のお母さんの声だ。
「突然申し訳ありません。わたくし、雨宮と申します。旦那様にお会いしたいんですが」
『……えっ、、、はっ!雨宮さん?!』
予想していた反応とは全く違う理央のお母さんの声に、頭の上にはてなが浮かぶ。
それに…
お父さん、、なんか少し…楽しそう…。
横でインターホンに向かって微笑んでるお父さんを見てそう思った。