一匹少女が落ちるまで









「…ここ」


お父さんの運転した車で、理央の家の前にやってきて、私は控えめに指を指す。



「…よし。わかった」


「お父さん、理央の家に行ってどうするの?」


「フフッ。大人の話だよ」



「大人…」


「いいから来なさい」


お父さんはそういうと、私とお母さんを引き連れて、理央の家のチャイムを鳴らした。



理央のお父さんが出て来たらどうするのよ。


私の顔を見て、また追い出すに決まってる。



──────ピンポーン



私の心配なんかお構いなしに、お父さんはチャイムを鳴らした。



『───はい』



インターホンから女の人の声が聞こえた。



理央のお母さんの声だ。



「突然申し訳ありません。わたくし、雨宮と申します。旦那様にお会いしたいんですが」



『……えっ、、、はっ!雨宮さん?!』



予想していた反応とは全く違う理央のお母さんの声に、頭の上にはてなが浮かぶ。



それに…


お父さん、、なんか少し…楽しそう…。



横でインターホンに向かって微笑んでるお父さんを見てそう思った。



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