一匹少女が落ちるまで

「…桜庭 理央です」

「…桜庭 理汰です」



2人はそうお母さんとお父さんに挨拶すると、登さんに促されて、登さんの隣に座った。



「すまないね。こんな汚い格好で」


登さんは苦笑いしてお父さんにそう言った。



「全然。会えて嬉しいよ。それで…あまり時間がないから早速本題なんだけど。登、息子たちのこと好きか?」



────っ?!


「…な、何言ってんだ。当たり前だろ」


「本当かな…」


お父さんはそう言って薄笑いを浮かべた。


この笑いはムカつかせる。


昨日の理央のお父さんを見る限り些細なことですぐにカッとなる人だ。



「なんだって?いきなり人の家に上がりこんできて、そんな質問するのか。いいか?目に入れても痛くない。本当にそう思って可愛がってるから、不自由させないように家族のために死に物狂いで働いてるんじゃないか。君だってそうだろ。何を変な質問を」



私だって、まさかお父さんがそんな質問をするなんて驚きで、隣のお父さんをジッと見てしまった。



そうだ。



親はきっとみんな子供のことが大好きだ。



どうしてそんなわかりきった質問なんか…。





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