一匹少女が落ちるまで
「…なんか男って結局1番女々しいよな」
───っ?!
聞き覚えのある声に驚いて顔を上げると、隣でコインを俺と同じように入れてる人がいた。
少し前まで絶対関わることのなかった人物だが、今彼は理央の多分『友達』だ。
「…なんで赤羽がここにいんだよ」
俺は少し睨みをきかせながら、そう聞く。
わけがわからない。
だいたい、こいつはどうしてこんなに変わったんだ。
いや、前に戻ったって言った方が近いのか?
高校に入って、フラフラと不真面目になるようになった赤羽は、中学の頃もう少し明るくて友達がたくさんいたのを思い出した。
「雨宮に桜庭取られて嫉妬してんの?」
「はぁ?」
全部見透かしてるかのように少しニヤついてそう言う赤羽に腹がたつ。
「それとも、雨宮に城ヶ崎取られて嫉妬してんの?」
「……っ!」
「図星か」
「黙れ」
俺はそう吐いて、コインの入ってたカップを持つと、コインゲームのイスから立ち上がる。
こんなやつと喋るなんて時間の無駄だ。
時間なんて、あまり過ぎているんだけど…。
こいつと話すくらいなら…。