一匹少女が落ちるまで


本当に。


園子が言うように最低だ。


『すげぇな、紫月』


不意に彼にかけられた言葉を思い出す。



そう言った理央の目はなんだか寂しそうな目をしていて。



たくさんの人たちに囲まれて、それが楽しくてそうしてると言っていた。


でも…。


よくわかんないけど。
理央は嘘をついている気がする。



どうして。


嘘なんてつくんだろうか。



「しーねーちゃん!」


っ!!


リビングから走ってきた空に声をかけられてハッとする。



「今日のごはんなに?」


「ハンバーグだよ」


「わぁー!ウミ!今日ハンバーグだって!」


空は目を輝かせたかと思うと、リビングで遊ぶ海斗に知らせに行った。



この笑顔が見れるだけで。



私は幸せだ。



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