一匹少女が落ちるまで


「紫月、大丈夫。絶対またねくらい言わせてやるんだからね。絶対間に合うんだから」


みんなに出会って弱くなってしまった。


玲奈のその言葉で、涙が溢れそうになる。


『声が聴きたかった』


昨日の電話越しの理央のセリフ。


今どうしてかがやっとわかった。


理央にとってあれが『最後』だったんだ。


理央にはみんなとの夏休みなんてなくて、それなのに、楽しみだって言って笑ったのは、私のためで…。



そんな理央に、気持ちが溢れてくる。




お願いだから…まだ行かないで。






「着きましたっ!」



運転手のその声で、急いで車を降りてから、私は空港の中に飛び込んで無我夢中で理央を探そうと走った。




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