一匹少女が落ちるまで
「…わかってるの。私みたいな地味で可愛くない人にそんなこと言われたって迷惑なこととか、理央には可愛い子がお似合いなことくらい。だけど…だけど……」
「もう喋んなくていいから」
「…えっ………っ、、」
涙目の紫月にまたクラクラして、俺は紫月の頬を両手で包み込む。
「…俺の中でも、紫月が1番でかいし」
一言そう言ってから、俺は紫月にキスをした。
ニヤニヤしそうになるのを必死に我慢して。
離したくない。
もう搭乗口に向かわないといけないのに。
紫月から唇を離しても、俺は足を動かすことができなかった。
ほら。
だから、黙っていこうとしたのに…。
きっと、山岡が我慢できなかったんだろう。
「…どう言う…こと?」
目をキョロキョロさせながら、キスされた紫月がそう聞く。
「…大事なところ鈍感過ぎ。紫月のことが好きってこと。時間がないから一回しか言わないけど、好きじゃないとあんなに何度もキスなんてしないし、こっちだって紫月のこと好きすぎてどうにかなってたんだから」
「…嘘」
驚いた顔をした紫月もやっぱり俺にとって1番可愛くて。
「…本当。だから今もすげー離したくないよ」
「……っ」
俺がまた強く抱きしめると、紫月もまた俺のシャツをギュッと握った。