一匹少女が落ちるまで
「…雨宮っ!」
久しぶりに聴く声に、私は声のする方を振り返る。
「…風間先輩っ!!」
そこには去年卒業した、風間先輩が大きな花束を持って立っていた。
「卒業おめでとうっ」
爽やかな笑顔でそういうと、先輩は私に持っていた花束をくれた。
まさか…卒業式に来てくれて、こんな素敵な花束までくれるなんて…。
「ちょっと惚れた?」
「…えっ」
「おい風間、ふざけたこと言うな」
「ちょっと赤羽くん。先輩のこと呼び捨てはないんじゃない?」
ちょっとイラついた赤羽くんに爽やかに注意する風間先輩だけど、やっぱり少し目が笑ってない気がする。
「って言うかなんで紫月だけー?紫月にくれるなら、あと4人分用意してよね!」
玲奈も負けじとそう言う。
「…はぁ。君たち調子乗り過ぎ。俺は雨宮だけに会いに来たの」
「…まだ好きなんすか?」
うぅ…山岡くんなんてどストレートに…。
「好きだね。去年の卒業式にしっかり振られたから余計燃えてるかも」
「ヤバ」
「ちょっと怖いよそれ」
赤羽くんと玲奈が眉をひそめてそう言う。