一匹少女が落ちるまで
「…とにかく、まだ諦めてないからさ。遠く離れてるあいつのことより、こうやってすぐ飛んで会いに来る俺の方がずっといいと思うけど。この花束、プロポーズも兼ねてるからね」
───っ?!
「…風間先輩。素敵な花束ありがとございます。だけど、あの、もしそう言うことでしたら…申し訳ないですが、受け取れな──」
「ハハッ…冗談だよ。雨宮のこと諦めてないのは本当だけど、これは本当にただの卒業祝いだから。受け取ってもらわないと、困る」
「は、はぁ…じゃあ、ありがとございます」
「…すげーな。振られたくせにこんなことできるって」
「赤羽くん、うるさいよ」
目が笑ってないその笑顔に、私たちは全員一瞬ゾワっと寒気がした。
「幸せになれよ、雨宮」
先輩は今度は本当に優しい笑顔でそう言うと、私の頭を撫でてから「じゃあ辛くなったらいつでも連絡して」といって花道を後にした。