一匹少女が落ちるまで


後輩が卒業式の片付けを始め出して、卒業生もぞろぞろと親御さんと帰って行った時。


みんなも帰って行く中、


私は、1人大好きなあの場所へと向かった。











大好きな木と紙の匂い。



大好きで心地い場所だった。


それなのに。


図書室に入った瞬間、溢れる涙が止まらなくなる。



理央は、私のことをまだ好きだろうかとか

私のことを覚えているだろうかとか

他の誰かと一緒だとどうしようとか


毎日楽しいはずなのに、ふと1人になると、マイナスなことばかり考えて不安になる。


私は、メガネを外して袖で涙を拭ってから、図書室を歩く。



思い出すのは、理央と過ごした時間や赤羽くんがやって来たときのことで。



あの時は正直、理央のことが苦手だったな。



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