一匹少女が落ちるまで


「仕方ないじゃん。俺お金ないから行くところないし」


「家に帰ればいいじゃないですか」


「無理」


「はい?」


全く理解できない。

暇つぶしで人の邪魔をするなんて、歪んでいるにも程がある。


「とにかくもう決めたんだよ。なんか落ち着くし」


落ち着く?


「みんなといる方が楽しんじゃなかったんですか」


私は本から目を離さずにそう聞く。


「……」


黙ってる彼の顔を見る。


…やっぱり。



「嘘ですね」


「…はぁ?」


「まぁ…どうでもいいですけど」



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