一匹少女が落ちるまで
「新山、すごく大事なことを忘れてるよ。もし仮に先生がそれを仕組んだとしても、行動したのは全部君達だ。どんなに環境が整ってたって行動しなきゃ意味がない。君たちはちゃんと自分たちの意思で行動したろ?」
でも…その言い方じゃまるで。
やっぱり先生は、全部わかってた?
わざと敵に回ったように見せかけて、桜庭くんを1番心配してたのって…。
「先生、やっぱり…」
「君のお母さんからね、よく電話が来てたんだ」
「え?」
「学校であの子はどうですかって。詳しいことはなにも言わなかったけど、家に帰って来ても元気がないって。でも、城ヶ崎たちといる君は楽しそうに見えて。だけどちゃんと君のことを見てたらだんだんわかって来たんだ。無理してるって。だから、先生もなんとなくなんだよ。どうなるかなんてわかんなくて。ただ図書室に行って桜庭たちを見て来て欲しいっておもった。行動したのは桜庭や君や雨宮だよ」
「…先生」
「新山が楽しそうで、先生も今、すごく楽しい」
先生は無邪気に笑うと、そう言った。