一匹少女が落ちるまで


「新山、偉いな」



「…え?」



「家に帰ったら毎日ご飯作ってお母さんのこと待ってるんだろ?お母さん、とても喜んでたぞ」


ずるいよお母さん…。

いつもそんなこと言わないのに。


もう当たり前になってることだったから、自分の中でも普通だった。


だけど、先生に『偉い』なんて言われて、泣きそうになる。


「先生も母子家庭なんだけどさ〜そんなに頑張ってなかったよ」


「…え、先生もなんですか?」


「そうだよ。悪い父親でね、先生のお父さん。ま、その話はいいんだけど。でも、大人になった時、今の経験って1つも無駄じゃないから。先生はずっと、新山のこと応援してるよ」


マイペースで

ちょっとふざけてる先生なのかと思ってた。


めんどくさいことはしたくないし、生徒に興味のない先生だと思ってた。


でも、全然違くて。



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