一匹少女が落ちるまで
「んだよ、それー」
桜庭くんはなぜか少し気分を害したらしく、机に上半身を倒して腕の上に顔を置いてから頬を膨らませた。
「まぁいいや」
桜庭くんはそう言うと、当たり前のようにポケットからスマホを取り出して、携帯をいじり始めた。
「…禁止」
「へ?」
桜庭くんは携帯に視線を向けたまま、私の声にそう言う。
「ここ、携帯電話禁止ですよ」
「…じゃあ何しろって言うんだよ」
「…本を読めばいいんじゃないでしょうか」
ここは図書室で、本を読むところなんだから当たり前だ。