一匹少女が落ちるまで


言いたい放題話すこいつらを怒鳴りたいのを必死に我慢する。


だるいのはお前らで、俺だ。


城ヶ崎は社長令嬢で、彼女の父はこの学校に多額の寄付をしてる。


それだから、先生たちでさえも生徒ももちろん、城ヶ崎には逆らえないわけで。


「でも、あれだな理央の親父さん、バスケ辞めるのよく許したな」


山岡が話題を変えてそう聞いてきた。



「…あぁ。無理はしなくていいって言ってくれた」


「へー、意外。ちょっとは怒られたのかと思った。昔から厳しかったじゃん」


中学の頃から一緒にいる山岡だから。

やっぱり痛いところをついてくる。

俺のことが嫌いなら、必要以上関わって来なければいいのに。


「今は結構丸くなったよ」



なんて。


また嘘をつく。



『死んだ方がまし』


紫月のその言葉が、何度も響いて胸が苦しくなる。



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