一匹少女が落ちるまで



桜庭くんは「俺小さい字見ると頭痛くなるんだよね〜」と笑いながら話す。


カチャッ


もういい。


この人のことは視界から消そう。


突然私の前に現れて、こんな風に私の至福の時間を奪う人なんか。


私は、心の中でため息をついてから今度こそ目線を本に戻す。




だんだんと、視界の端がぼやけて本の中の場面がそこに広がる。




(戻ってこれた)



そう思った時だった。




…?



生暖かい柔らかい何かが、私の唇に触れた。




< 7 / 487 >

この作品をシェア

pagetop