一匹少女が落ちるまで
「…え、なに?怒ったの?」
なにを言われても平然としている彼女だから、今回もきっとスルーされるんだろうと思っていたから驚きだ。
まさか、紫月が気にするなんて…。
「…でも」
紫月が得意の安定した声でそう話し出す。
「今日、弁当を拾うの手伝ってくれたので、プラス100です。まぁ…だから、理央の印象が0なのは変わりませんが」
そんなことを言う紫月が意外で、そんな彼女を見て「ちょっとかわいいかも」なんて思ってる自分もやっぱり変で。
「いいよ、ずっと0で。だからここにいるから」
俺は彼女の肩に頭を置いたままそう言った。