一匹少女が落ちるまで

【side 理央】


「理央」

放課後、最近できた居場所に座っていると隣から俺の名前を呼ぶ安定した声が聞こえた。


「いつもよりも増して、狭いのですが」


「うん。そりゃ、2人席に3人も座ってたら狭いだろうね」


俺は当然でしょ、と言う顔をしながら横に座る紫月にそう言う。


「…桜庭、何の真似だよ」


紫月の方に顔を向けて話していると、今度は横から俺の後頭部に向かって不機嫌そうな声がそう言った。


「勉強手伝おうと思って」


「はぁ?お前、伊達が俺のこと呼んでるからって強引に連れてきたんだろ。伊達はどこだよ。そもそもなんで図書室なんだよ。つーかなんで雨宮がいんの」


「いっぺんに質問しないでよ。落ち着いて」


俺はまだご機嫌斜めの赤羽をそう言ってなだめる。


俺だってこんなこと好きでやってるわけじゃねーよ。


そう言いたいのを堪える。



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