一匹少女が落ちるまで
「……どう?ちょっとキュンとした?」
気づけば視界が、こちらをジッと見つめる桜庭くんのアップでいっぱいになり。
桜庭くんは、ニヤッと片方の口角だけあげると、体をこちらに向けたまま机に頬づえをついた。
今、何が起こったのかは理解できている。
いきなり、桜庭くんが顔を近づけて彼の唇が私の唇に触れた。
「……キュン?」
「キス、したんだけど」
なんだか得意げにこちらを見てそう言う桜庭くんに。
「別に…なんとも思いませんでした」
私は表情1つ変えずにそう言った。