一匹少女が落ちるまで
「…良くないですよ。全然良くないです。人の善意を。去年1学期の中間テスト、学年2位だったのは赤羽 大雅くん、あなたです。あなたの名前と私の名前が掲示板で並んだのを私は覚えています」
「…え?!…まじ?」
紫月の言っていることが信じららなくて、俺は紫月と赤羽の顔を何度も交互に見つめる。
赤羽は、軽くため息をついてから、紫月をジッと見ていた目をそらした。
「あなたが勉強しようがしまいが私には関係ないですし、何が理由でそうなったのかもどうでもいいです。だけど今、理央があなたにしてあげようとしていることは、間違っていないと思います」
「なんなんだよ。お前ら」
赤羽はそう言って「とにかく俺は勉強なんてやらない」と吐き捨てると、そのまま図書室を出て行った。