一匹少女が落ちるまで
「…なぁ、紫月。赤羽って勉強できるやつだったんだな」
赤羽が出て行ってから、俺は紫月にそういう。
「理央」
「…えっ」
明るく話した俺のことを紫月はキッと睨んだ。
「変ですよ。正確には今日のお昼から」
「は、はぁ?」
紫月にそう言われて、若干戸惑う。
こいつは本当に、人のことをよくみているやつだと関心するほど、俺の嘘や隠し事をすぐに見抜いてしまうんだから。
「どうしていきなり赤羽くんの勉強を見る気になったんですか?」
「…いや、それは」
伊達に脅されているなんて、たとえ紫月にでも言えない。