一匹少女が落ちるまで
「正直、すごく迷惑です。放課後のこの時間は、私が唯一リフレッシュできる時間なんです」
「…あぁ」
わかってる。
紫月の邪魔になっていることくらい。
だけど、いま俺の居場所はどう考えたってここだけで。
「ごめん」
俺はわがままだ。
寄って集ってくる女はたくさんいるのに、その子たちじゃなくて、わざわざ紫月のそばに居ようとしている。
「そう思っているなら、何があったのか話してくれませんか?私には聞く権利くらいあると思うんですが」
彼女は、読んでいた本をパタンと締めてそういうと、まっすぐ俺の目を見つめた。