一匹少女が落ちるまで
「そうですか」
「うん。怒った?」
「いえ、別に。言っておきますけど、私、赤羽くんの手伝いなんてしませんから」
「えっ…ちょっ」
私は、椅子から立ち上がると、肩にカバンをかけて、本棚に戻す本を持ってから席を後にする。
「…紫月?」
理央は私の名前を呼びながら、私の横をついて歩く。
そうだ。
彼が嘘ついて言おうがいまいが、私にはそもそも関係ないし、彼の本当の気持ちなんてどうでもいいんだ。
事実、彼は初めてここにきたあの日「暇つぶし」だとはっきりそう言ったんだから。
「私を巻き込まないでください」
私は理央にそう言ってから、彼を置いて図書室を後にした。