一匹少女が落ちるまで
「雨宮と桜庭なんて、おかしな組み合わせすぎるでしょ」
「はあ…」
「…今日来るつもりなかったけどさ、なんで2人が一緒にいるのかちょっと気になって」
赤羽くんは、そう言って教科書を掴んでいた手の力を緩めると、ゆっくりと歩きだした。
「…暇つぶしで、理央が突然やってきたんです。部活辞めたからって」
私は、赤羽くんの背中を追いながらそう話す。
「…暇つぶし…ねぇ」
「私も大変迷惑してるんです。私の大切な時間を…」
「その割には、かばってたじゃん」
「…それは、あれはどう考えても赤羽くんが悪いから」
「…俺?」
カチャッ
メガネの真ん中を押し上げる。
「…とにかく、私も理央が何を考えているのかわからないし、知ろうとも思わないので」
「…そう」
「そうです」
私がそう答えたとき、ちょうど目的の教室に着く。
「じゃあ」
「…えっ」
赤羽くんは、教室に入らないでスタスタと今歩いてきた道を歩いた。
授業受けないんだ…。
私は小さく去って行く赤羽くんの背中をただじっと見つめた。