一匹少女が落ちるまで
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……
…?
冷水機から戻って来た時、体育ずわりで壁に背中を預けている女子が見えた。
俺がすぐに見つけてしまうなんて
彼女以外他にいない。
長い黒髪をこの時間だけ後ろに結んでいる彼女。
「紫月」
ポツンと座る彼女にそう話しかけた。
「理央」
相変わらず、俺の顔を見てもいたって沈着。
……?!
けど俺の方は、彼女の顔を見るとそれとは正反対の反応になった。
「紫月…メガネは?」
そう。
メガネといえば紫月、紫月といえばメガネだった彼女の目元から、その黒縁メガネが外されていたのだ。