一匹少女が落ちるまで
「…城ヶ崎さんがぶつかってきて…それで」
「……っ‼︎」
紫月は平然と話しながら、俺にガラスが無残に割れた黒縁メガネを見せた。
「まじかよ…」
弁当のことといい、今回のメガネのことといい、城ヶ崎のやり方はどんどんエスカレートしている。
メガネがないと、紫月、授業だってまともに受けられないじゃないか。
「大丈夫……じゃないよな」
「大丈夫です」
「…えっ」
「こんなこともあろうかと、カバンにコンタクトレンズを数枚常備しているので」
「…あ、そうなんだ」
さすがというか、なんというか。
こんなことを予想して学校の準備をしないといけないなんて、不憫だ。