一匹少女が落ちるまで
「何見てんの」
昨日の話の続きをすればきっとまた逃げられる。
そう思ったので、あえてさりげない話を持っていく。
赤羽がジッと見ていたのは、花壇に咲いている
花だった。
赤羽のような不良がこうしてジッと花を見るなんて、珍しいというか似合わない。
「…別に」
赤羽はそう言うと、俺と目を合わせないまま校舎の方へと向かって行った。
本当に、こんなやつが学年2位だったなんて…。
ありえない。
紫月が見たのはホントに赤羽だったのか?
それに…。
……!
俺は、紫月から聞いたセリフを思い出して慌てて校舎に入った赤羽を追いかける。