島…君をレンタルしたいカナ
狂犬になるよ…?
「…ああ、ヨーコ?」


元気でいるよ…と教えられたきり黙る島さんの背中を窺った。

昨日に引き続き早番勤務だった私は、昨夜計画した通り店に寄り、白いオウムのことを彼に尋ねた。


「今何処にいるんですか?この間から来てるけど、お店にはいないみたい」


もしかして、自分の家にいるの?と思ったけど、彼は「うん…」と小さな声を出したきり、何も言わずに唇を噛み締める。

ひょっとしたら聞いちゃマズい事だったのかな。

私はヨーコというオウムは島さんのお店で売ってるんだばかり思ってたんだけど、実はそうじゃなくて、元カノか誰かのオウムだったとか。


あの日はたまたまこの店に連れて来てて、妹のカンナさんが誤って外に出してしまったとかいうパターンで、それが元でケンカして別れたとか。

それでヤケクソになってペットレンタルを始めたとかいう感じ?

昨日は最もらしい理由を話してたけど、実は意外とそうだったりしてーーー。


彼が何も言わないから勝手にあれこれ妄想してる。
教えてくれる気があるのか無いのか、それすらも背中だけでは見当もつかない。

今日は晴れたせいもあって、久し振りに『PET HOUSE スマイル』の中はお客さんが多い。

私は会話も出来ないくらい忙しそうな彼のことを見てるのがつまらなくなってきて、「はぁっ…」とつい短い息を漏らした。


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