島…君をレンタルしたいカナ
「な…何?」


ヤバい。声が上ずりそうだ。
必死で顔に出さないようにしてるけど、赤くならないように…と思えば思う程、頬も耳朶も熱を帯びてくる。


ジッと見てる島さんから視線を逸らそう。
これ以上彼と目を見合わせてたら、もっと顔が熱くなる。


「カナ」


名前を呼ぶ声にドキッとする。
彼のハスキーな低音ボイスで呼ばれると、いつも胸が弾んでしまう。


何度でも呼んで欲しくなって。
もっと耳元で囁くように…と願いたくなる。


(ダメだぁー。妄想ばっかしそう)


「顔赤いね。耳も」


さらっと髪をかき上げて右の耳朶に何かが触れた。
ビクッと体を揺らすと、手の中のココアが溢れそうになった。


「火傷したらいけない」


コップを取り上げられてしまう。
それでも、私は空になった掌しか見れない。


まだ開店時間中だから、カンナさんも店にいる。
いつ誰が、この休憩室の方に来てもおかしくない状況下で……。


「カナ…こっち向いて」


見れません!
そんなことできない!


「向かなくても向けさせるよ」


顎を支えるように指が動く。
ぐっと上を向かされると、彼の体温が近付いた。


そ…と触れてくる唇の温度を感じながら、胸が何処までも弾けそうな程に鳴ってる。

まるで生き物のように口の中で動き回る彼の舌が、逃げ惑う私の舌の動きを止める。

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