島…君をレンタルしたいカナ
「早く病院へ行こう!中央病院の外科に運んだって、警察から連絡入って…」


「警察!?」


一体何が起こったの!?
島さん、貴方は一体何処でそんな危険な目に……


「早くっ!置いてくよっ!」


カンナさんの怒鳴り声に何とか足を動かした。
もつれそうになる足の先を気にしながら、店の外に出てタクシーに乗り込んだ。


「中央病院まで。急いで」


カンナさんの声も焦ってる。
その声を聞きながら、ぎゅっと両手を顔の前で握った。



(島さん……!)


どうかお願い。
無事でいて……。


震えそうになる体を腕で抱いた。
頭の奥では、グッタリとして息もしてなかった父の顔が浮かんでる。

 
島さんが同じように息をしてない場面なんか見たくない。
どうかお願い。彼を助けてーーー!

もう誰も見送りたくなんかないの。
悲しみの涙よりも嬉し涙を流させて。


「どうもないよ」と笑う彼に会いたい。
「心配かけてごめん」と私に謝れるくらい元気でいて欲しい。


(……お願いっ!)


妄想はどんどん悪い方にばかり広がってく。
病院への道程が、随分長過ぎるように感じたーーー。


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