島…君をレンタルしたいカナ
事情聴取が済み、店の方に寄ってから帰ると言う彼に付いて、二人で『PET HOUSE スマイル』へ向かう。

タクシーの中で島さんは、ヨーコを迎えに行った理由は自分と私とのキューピット役だから、と話した。


「あの日、ヨーコの鳴き声が君の足を止めたんだろう?ヨーコがいなかったら、君は今も俺とは知り合わなかったと思うよ。
そう思ったら殺されてなるものか…と思えてしまって。でも、まさかドアを開けた瞬間に切り付けられそうになるとは考えもしなかった」


切り付けてきた息子さんは、足元がヨロケて玄関に転んだ弾みで気を失った。
それで直ぐに救急車を呼び、島さんが傷を負ってたから警察も呼びなさいと救急隊員に言われたらしい。


「俺としては傷害事件とかにはしたくなかったんだけど」


ホントに何処までも人がいい。
お人好し過ぎるけど、そんな彼が好き。



「島さん…」


ヨーコを助けようとしてくれてありがとう。
私も自分と似てると思った鳥が、無事でいてくれるのは嬉しい。


「ところで、どうしてカナは店にいたんだ?」


今日は仕事休みだったよね…と問われ、伝えたいことがあったのを思い出した。
さっき慌てて店を出たから封筒をあの休憩室に置きっぱなし。
ショックで手からこぼれ落ちてしまったままだ。


「うん…伝えたいことがあって来てたの」

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