島…君をレンタルしたいカナ
店に着いたら分かると言い手を握った。
包帯の上をさらりと撫で、彼の肩にコトンと頭を擡げて甘えた。



店に着くと彼は直ぐに小動物や小鳥の世話を始めた。
手をケガしてるから水仕事は私が代わりに行う。



「ごめん」


謝る彼に、役に立てて嬉しいと笑うとキスを返された。
軽いフレンチキスの後で、彼に「伝えたいことは何?」と問われた。


「あのね、ちょっと来て」


給水ボトルを流しに置いて休憩室に彼を連れて行った。
上がらずにそこに居てと頼み、畳の上に落としてた封筒を拾い上げる。



「ジャーン!これ見て♡」


ニッコリ笑いながら近付き、「採用通知」と話した。

驚いた彼の目が見開き、私は目論んでた通りになったから嬉しい。


「島さんのアドバイを受けて出版関係の会社を受けたら通ったの」


面接でシマリスをレンタルした話をしたら、面接官の一人と大いに話が盛り上がったんだと教えた。


「そのおかげで受かったのかも♡」


ありがとう…と言おうとしたのに、何故か彼の顔はムスッと不機嫌な感じに見える。

さっきは確かに驚き半分で喜んでるように見えたのに、ホントにコロッと変わる。



「その面接官、カッコ良かった?」


「えっ?」


「そいつ、どんな奴?」


ん?もしかして妬いてる?


「あのね、島さん…」


「俺なんか嫌かも」


「えっ?」


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