島…君をレンタルしたいカナ
「何よぉ〜。大人気ないぞ〜」と言いたいところだけど、そこまでの関係でもない私達。



「島さん……」


ショボくれて名前を呼ぶ。
一心不乱にケージの中の小動物を世話してる彼に、私の声は届いてるのだろうか。



「お兄ちゃん、みっともないから止めてくれない?」


店の陳列棚でペットフードの補充をしてた妹のカンナさんがやって来た。
私の方を振り向き、ニコッと笑みを浮かべる。


「折角カナさんがお店に来たのに何よその態度は。昨日は要らない心配ばかりしてヤキモキしてたのを話すわよ!?」


要らない心配?
もしかして、私のことを?


「あのねーカナさん、お兄ちゃんたらね……」


可笑しそうに笑いながら話しかけてくるカンナさんを、島さんはあの耳に残るハスキーボイスで止めた。



「止せ。話すな」


立ち上がって振り向いた顔を見て目を見開く。

先週負った傷を覆ってたガーゼが取れてる。



「島さん、傷…」


まだ赤っぽい傷痕が残ってる。
掠っただけだと言ってた割に、長さ四センチはありそう。


痛々しい傷を見てたら、彼が怒ってたのも吹っ飛んだ。

そう言えば、手にも傷を負ってた。
それは一体どうなったの!?



さっ…と顔を背けて傷を見せないようにする島さんに、カンナさんは呆れるように言い返した。


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