島…君をレンタルしたいカナ
教えてくれるのは、面接の時にシマリスの話で盛り上がった秋元さんという男性。
経理部の責任者で、面接官の中でも一番若そうだったオジさん。

飲み会の席で話を聞いたらまだ三十代だと分かった。
オジさんじゃなかったんだ…と少し反省させられた。



「三十八?へぇー…」


自分とそんなに変わらないんだと思ったのか、島さんが急に押し黙る。
もしかして、嫉妬してるとか?


「秋元さん、既婚者よ」


勘違いされてもイヤだから教えると、こっちに視線を流し、「別に気にしてない」と囁き前を向く。


(うっそだー)


私、休憩時間にカンナさんに聞いたんだから。
昨日の飲み会で、私に言い寄る男がいるんじゃないかと散々心配してた…って。



『お兄ちゃんって呆れるくらい独占欲強いの。これまでもそれが原因で彼女とケンカ別れすることが多くてね。最近では女子よりも小動物の方が可愛いとか言う始末だし。だから多分、カナさんもそのうち呆れるよ、きっと』


『そんなに?』


『そう。だから覚悟しといて』


精々宜しく、と頼まれた。
元カレのマコト君の話をした時も、そんな性格だから「サイテー」なんて言ったのかも。



(私には島さんさえいればいいんだけど…)


心配は無用だと前にも言ったのに、島さんはやはり疑ってるのかな。
マコト君にフられた私が、他の人を見ることなんてあり得ないのに。


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