島…君をレンタルしたいカナ
寝坊して『PET HOUSE スマイル』へ行ってみれば、目の前には大勢の美女がズラリ。


「な……」


何だ。あの美女軍団は。
やたらと全員スタイルが良くて、煌びやかに見えるんだけど気のせい?


ジィ〜〜ッと睨むような目線を送ってたら、美女に取り囲まれてる島さんがやっと気づいた。
「カナ」と私の名前を呼び、こっちへ来ようとする。

周りにいた女子達は彼の背中を目で追い、その先にいる私のことを捉えた。


ギクッと肩を上げて身構える。
島さんは私の側へ来ると「遅かったね」と笑顔を見せ、努めて平静に「うん…」と返事をしたんだけどーーー



(えーん!怖いっ!)


何がってあの美女集団の視線が。
誰よあれ、って目で私を射抜こうとしてる。

ヒクッと頬の肉が引き攣り、笑いたくても笑えない状況。
島さんは私の背中を押すようにして、美女達のいる方へ向かった。

大学時代のゼミ仲間って、全員が女子だったの!?と狼狽えそうになってたらーー


「トシ、誰それ」


小動物のケージが置いてある方から声がした。何気に振り向くと、そこには男性が数名いる。

島さんは私の背中に置いてた手を肩に乗せ、ぎゅっと掴んでから紹介した。


「大崎花奈さん。俺の彼女」


彼女、とハッキリ言ってくれた後、周りからは衝撃波のような声が響いた。


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