島…君をレンタルしたいカナ
「それ言うなら私達だってそうよ。いびったりしないのに、絶対に会わせてもくれなかったんだから」


ケラケラと笑う美人は美咲さんという。
薬品開発の研究員をしてる理系女子で、他の人達も全員、お勤めはそっち系っぽい。


どうやら獣医師免許を持ってても開業する人は殆どいなくて、検体の仕事についたり普通にオフィスの研究所に就職するパターンが多いようだ。


だけど、明らかに私みたいな文系女子とは違う。
全員何処か頭が良さそうだし、額が光って見えるというか、キリリとして頭脳明晰そうな感じ。


島さんは他の男性陣と私を話させたくないみたいで、ずぅっと横に居てくれた。
いつも以上に優しくて、笑いかけてくれる笑みが照れ臭そうに見えた。

夜はゼミ仲間と飲み会をやるんだけど一緒に来る?と誘われ、流石に明日は仕事だしなぁ…と悩んだ。


「遠慮しておく。明日からまた慣れない仕事も始まるし」


美女に取り囲まれて飲む島さんの姿なんかも見たくないから断った。
彼はホッとした表情を見せ、良かった…と呟く。


「あいつら飲むと絡みだすから、誘おうかどうしようか迷った」


悪い連中じゃないんだけど…と弁護してる。
それは今日の雰囲気で十分知った気がする。


全員に見送られるようにして店を出たのは午後五時。

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