島…君をレンタルしたいカナ
三度目の目撃を果たしたにも関わらず、彼の名前もわからないままで、やっぱりご縁はなかったんだなぁ…と思い始めたある日ーーー



『ペットレンタル始めました』


ショーウインドウに貼られた紙を見て、あれと同じだな…と思った。
ラーメン屋さんに張り出される夏の風物詩と一緒。


『冷やし中華始めました』


そう言えば、最近では散髪屋さんでもあったっけ。
『冷やしシャンプー始めました』って貼り紙が。



(…でも、今は冬だしなぁ)


ペットのレンタルなんて季節関係ないのかな。それにしてもレンタルって何で?


どういうのなんだろう…と気になりつつ、いつも素通りする筈の店の前で立ち止まる。


今日は珍しくお客さんが多い。
もしかしたら、この貼り紙の効果かもしれない。


(これなら私一人が紛れ込んでも大丈夫よね)


あの黄色いトサカのようなものを付けたオウムにも会いたいし、あわよくばあの店長さんにも出会えて、傘のことも聞きたい。


キィ…とドアを引っ張り開けて中へ入った。
ペットショップならではと思われる独特のニオイが充満してる。

ちらりと奥を見てみると、あの黒縁メガネの人はお客さんの質問に答えてるみたいだ。



(話しかける雰囲気でもないな)


それじゃ…とばかりにどんなのがいるかを見回ることにした。
店の端っこから一つずつ、カゴやケースの中を覗いてく。


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