島…君をレンタルしたいカナ
(わぁ…文鳥とかいる。珍しい…)


この最近、人気が出てるとテレビで言ってたっけ。こんなのが一匹いたら、きっと楽しいんだろうなぁ。


「あ…何これ、ハムスター?」


冬毛って言うのかな。モコモコで丸々太ってて可愛い。


「あ…シマリスまでいる」


リスって家で飼えるんだ。知らなかった〜。


森の中を自由に駆け回ってるイメージしか浮かんでこない。
ケージとかでも飼えるのかな…と、少し熱心に見過ぎていた。



「いらっしゃいませ」


聞き覚えのある低音ボイスにドキッとして振り向くと、さっきまでお客さんの対応に追われてた人が立っている。


「あっ、君は…」


黒縁メガネの奥の瞳が見開いて、直ぐに細くなっていった。


「ありがとう。傘受け取ったよ」


優しい言い方で笑ってくれる。
ただそれだけなのに、こっちはその一言に気持ちが綻ぶ。


「今日は何か見に来たの?」


腰を低めてリスのカゴを見ている私に合わせて膝を折る。
近寄ってくる目線を見ながら無性に胸がドキドキしてきて、上ずった声で答えてしまった。


「ぺ、ペットレンタルていうのが気になって…」


ペの音が跳ね上がり、発音がおかしくなってしまい恥ずかしい。

顔から火が出そうなくらいに熱くなってくる私を笑いもせず、目の前にいる彼は「ああ」と声を発した。


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