島…君をレンタルしたいカナ
「動物を一度も飼ったことのない人に向けて始めたサービスなんだけどね」


膝を伸ばすと、手作りと思われるパンフレットを取りに行き差し出された。


「三日間だけレンタルしてもらって、自分で飼えるかどうかを判断して貰うんだ。これなら万が一飼えそうになかった時は返却も引き受けられるし」


興味があるならどうぞ…と言い、パンフレットを手渡される。
それには借りる個体に合わせた料金説明が記されてあった。


(セキセイインコは一日エサ代込みで500円。ハムスターは種類によって料金が違うんだ)


面白いシステムだなぁと思いながら眺めてると、パンフレットをくれた人はプッと笑いだし…


「家に帰ってから考えてもいいよ。無理にレンタルしなくても、遊びがてら見に来て貰ってもいいし」


ハスキーで低音な声だけど言い方が優しい。


この人の声っていい感じ。
ちょっと耳に残る気がする。


「ん?」


ああ、ヤバい。
そんな顔傾けないで。


「わ、わかりました!また来ます!」


狼狽えそうになりながら腰を伸ばして背中を向ける。
「そうして下さい」と浴びせられる声を抱きしめる様にして、パンフレットをぎゅっと胸に抱き抱えて外へ出た。


ドクドク…と心臓が鳴り響く。
マズい私。もしかして彼に一目惚れしたかもしれない。



(彼に?いや、彼の声に?)


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