島…君をレンタルしたいカナ
自分の家にはペットなんていたこともないけど、いたらきっと家族の絆も深まったかもしれない。


いつの間にか視線は親子連れに向いていた。
楽しそうにリスのカゴの前で話をする親子を見てたら、自分も早く子供が欲しいな…と思えてくる。
マコト君と別れずにいたら、こんな未来がやって来てたかもしれないけどーー。


(あんな薄情な人のこと思い出して何なるよ。考えるだけ損損!)


それよりも今はオウム。…じゃない店長さんだ。

視線を逸らして辺りを見ても、彼は何処にも見当たらない。
ガックリと項垂れて、今日は縁がなかったか…と出入り口に足を向けて歩きだした。


ドキン…と胸が鳴って足が止まったのは歩きだして間もなく。人混みから抜け出し、出入り口のドアが見えてきた時だ。



(あ…)


背の高いデニムシャツを着た人の背中。
エプロンの白い紐がウエストよりも少し低めの位置で結ばれてる。
黒い髪が襟の少し上辺りで切り揃えられてて、耳朶が髪の隙間から覗いて見える。

あの背中は間違いなく店長さんだ。
そうか、お客さんを見送ってたんだ。

もしかして、またあの憂いを含んだような眼差しをしてるのかな。心配そうに見守りながらペットの行く末を気にしてるのかも。


(どうする?声をかけてみる?)


背中を見たまま考える。
昨日も来てるのに、また来たか…とか思われたりするのもどうかある。


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