島…君をレンタルしたいカナ
口から出た言葉に(しまった…)と思った。
今更引っ込めることもできず、一瞬、オロッ…としてしまう。


「えっ?」


私の言葉に振り向いた彼が、キョトンとした表情を浮かべる。
物見遊山に違いないと決め付けてたのか、その顔には驚き以外の何もない。


「……よく考えた?」


嘘だろ~という顔つきと言葉。
そうだよね。そう思うのも無理はない。


「考えました。家族にも話して『試せるならレンタルしてみれば?』と言って貰ったんです」


これは真っ赤なウソ。
話どころか会話もあまりしないで食事しただけ。


「ふぅん。ならいいけど何をレンタルする?ペットを飼った経験はある?ない?」


「何も飼ったことはないですけど…」


少し気が引けてきだした。
彼のことを呼び止めるだけのつもりが、こんな事態になってしまい焦る。


「そうか…。じゃあ何をレンタルしてみたい?」


聞き返す貴方を……と言いたいけど、それを言えば正しくヘンタイの仲間入り?


「あ…あの……」


どうしよう。弱った……。

チラ、チラッと鳥カゴの方を見たり、足元のハムスターを眺めたりして思案する。
弱り果ててくる私に吐息をついた彼が、唇を少し開いて声を出そうとした。


「あ、あの…」


「島店長ー、こっちのお客様の対応願いまーす!」


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