島…君をレンタルしたいカナ
節の細い綺麗な指先がしなやかに動き、まるでリスの尻尾のようだな…と思いながら見ているうちに、あっという間に立派な飼育ケースが出来上がった。


「エサは主にペレット。果物や野菜の他にヒマワリとかカボチャの種もオヤツに食べさせていいよ」


椎の実やドングリも食べると聞き、野生と変わらないんですね…と呟くと。


「そりゃ、同じリスだから」


笑いを噛みながら「当たり前なこと言うな」…みたいに聞こえて、思わず(萌え〜!)とか思ったりして。

いい年頃なんだから萌えは止そうと思い直し、そうですよね…と笑って誤魔化した。


「ところで、料金は前払い制なんだけど持ち合わせてる?レンタルする日数によっても料金は違うけど、何日間レンタルしてみる?」


最長でも一週間だとさっき説明された。
彼との接点を長く持ちたいから「一週間にします」と答えた。


私の顔を一瞬捉えた彼の目線が、不安そうな色に変わる。
こいつ大丈夫なのか…と疑われてる様な気がして、ギクッと胸が痛んだ。


「あ、あの!」


ぎゅっと両手を握って声をかける。
私の声に反応を示した彼が、「ん?」と呟きながら口角を持ち上げる。


「…もしもレンタル中に聞きたいことがあったら連絡したいんですけど、どうすればいいですか?」


初めてのペットレンタルだから不安は大きい。
わからないことばかりだし、詳しい説明も此処では長く聞けない。

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