島…君をレンタルしたいカナ
島(リス)君との生活
家に帰ると弟の賢太(けんた)が私の持っているケージを指差して叫んだ。


「母さん!姉ちゃんが変な生き物持ち帰ったよ!」


変なとは失敬な。
可愛いシマリスだっつーの。


「なぁに?変な生き物?」


パート先から戻り、夕飯の支度を始めようとしてたと思われる母は、賢太の声を聞いてキッチンから顔を覗かせた。


「花奈、何よそれは」


呆れた顔をして見てる。
わかる。私も自分に呆れてるから。


「シマリス。レンタルしてきたの」


「シマリス!?」
「レンタル!?」


親子揃って同時に別の言葉を言わなくっても。


「うん。可愛いから、つい」


勿論、島店長さんの魅力に負けてね。


「アホか」
「呆れた」


賢太、一言余計だよ。


「面倒見れるの?お母さん世話なんてしないよ」
「俺も」


誰もあんたなんかに期待してない。


「いいよ。私が一人で見るし」


どっこらしょ…とケージを抱えて階段を上がる。
リスのケージは鳥かごよりも少し大きくて抱えるのも結構厄介。

玄関先では母が、「大丈夫なの〜?」と心配そうに見送ってる。それに対して賢太が、「どうせ直ぐに飽きるって」と返事する。


三つ年下の賢太は昔から何処か生意気。
成績は優秀で大学三年生の時には既に内定を三つも貰ってた秀才だ。


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