島…君をレンタルしたいカナ
唇も頬も震えだして、信じたくない気持ちが胸の奥から湧き上がってくる。


「俺から言い出したのに悪いと思う。カナが気の済むまで殴ってもいいから別れて下さい!」


「どうして!?嫌よ!」


そんな理由も知らないで別れるなんて何?!
話せないような秘密があったなんて思いたくもない!


「訳を言って!でないと別れたりできない!」


ドキンドキン…と胸の鼓動がうるさい。
今はシリアスなんだから少しくらい黙っててよ。


動揺を隠せずに唇の端に力を込めて待った。
せり上がってくる涙の粒を下睫毛が何とか落とすまいと受け取る。

もう少し溢れればアウトだ。
こんなランチで賑わう店の中で泣き出すなんて、とんでもない醜態だ。





「ーーーーーたんだ…」


掠れる様な声が聞こえ、目に溜まってた涙を揺り落とさないようにして彼を見据える。
伏し目がちにしてた眼差しが向き直り、今度はハッキリとした声が聞こえた。


「支店で好きな子ができたんだ。その子がやっと振り向いてくれたから、今度はそっちと付き合いたい」


ガン!と頭に衝撃波を食らった様な感覚を覚え、彼の言った言葉を脳髄に刻ませるまでに時間がかかった。


「俺もまさかカナ以上に好きになる子ができるとは思ってなかった。だけど今は、寝ても覚めてもその子のことしか頭に無くて。

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