島…君をレンタルしたいカナ
カナとは付き合いも長くなったし、大人としてちゃんとした責任も取らなきゃといけないとは思っていたんだけど、そう思えば思う程、向こうに肩入れするって言うか、のめり込んで行っちゃってさ…」


後半は半ば惚気だ。喋りながら照れてる。


「だから、俺とは別れて下さい」


再び頭を下げて訴える。
だけど、それってつまり、私にした事と同じ事を彼女にもして落としたってことになるの？



「………サイテー…」


頭の中にやっと彼の言ってることが浸透した。そしたら、急にショックも怒りも折り重なってきて、ムカムカする気持ちも崩れそうな気持ちもミックスされてしまった。


「……私の大事な二年間を返してよ！マコト君に捧げたもの、全部戻してっ！！」


無理難題を浴びせながら手を握りしめる。
泣き崩れそうになる私を見る目が同情に満ちていて、もうこれ以上視界に入れておきたくもない。


右手の先にあったお冷グラスを手に取った。
パリンと割れてしまいそうな程、怒りが増幅してる。


バシャ！


弾ける水音と共に、彼の髪の毛や顔から雫が滴り落ちる。
驚く様に振り返った周囲の人達の視線も顧みず、私を見上げる彼の顔を睨んだ。


驚いてる顔が間抜けそうだ。
こんな男、自分からフッてやる。



「サヨナラ！」


ガタンと椅子から立ち上がり、足早に歩いてレジへ急ぐ。

< 5 / 157 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop