島…君をレンタルしたいカナ
「あのねー、この子はレンタルペットで、名前を個別に付けたらダメだって規則なの」


島店長さんに怒られたらどうするのよ。
私の大事な人なのにぃ〜。


「全くもう。二人ともシマリスの世話もしないのに何よ。名前だけ勝手に付けて、エサやったり遊び相手するだけなら止めてよ」


心ではそれが少し嬉しかったりもする。
三人で共通のものに興味を示すなんてこともずっと無かったから。


「世話ならしてあげるわよ。お母さんお水替えてきてあげる」


「俺、この敷物になる紙、シュレッダーにかけてやるよ」


「手の汚れない仕事ばっかじゃん」


「そこは連れて帰ったカナが責任取らなくちゃ」


「そうそう」


シュレッダーに紙を差し込みながら賢太は母の言葉に頷く。

こういう時だけ結託して。
似たもの親子だな、この二人。


「もういいよ。自分でやればいいんでしょ」


全く手伝わないワケでもないから良しとするか。

しかし、二人がここまでシマリスに関心を示すとは予想外だった。


チョロ…じゃないシマリスのお陰で朝から三人で食卓を囲んだ。
滅多に朝御飯を食べない私も一緒だったからか、何となく母が嬉しそうだ。



そう言えば、いつからだろう。
こうして三人で朝御飯を食べなくなったのは。


お父さんが元気だった頃は四人でテーブルを囲んでた。

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