島…君をレンタルしたいカナ
二度とお店には来ないでと言われたら最悪。

君にはペットを飼う資格も、そもそもレンタルする資格もないよと断言されて無視されたらーーー

私は彼の彼女にもなれず、名前以外の何も知ることができないまま、きっと会っても無視され続けて……。



(そんなのヤダ。絶対に困るっ!)


とにかくこんな状態だけど大丈夫ですか?とメールしよう。
返事が戻ってくることを願って、ポチポチと文字を打った。


『シマリスが今朝からずっと動きません。巣箱からも出てこないし、エサも食べずにトイレにも行かないままでいます。どうすればいいですか?!ほっといても大丈夫ですか?!』


良くないでしょ…と思いつつも他に方法が思い浮かばない。
送信をタッチして送った後は、スマホを握りしめて階下へ下りた。


店長さんからいつ返信が来てもいいようにポケットに入れ、母から頼まれた晩御飯の準備を始める。

ホワイトシチューだから簡単。
だけど、ホントはそれどころじゃない気分だ。


私がこうしてる間にチョロにもしものことがあれば、私は島さんに何と言って謝ればいい。

ごめんなさいじゃ済まない。レンタルを決めた時に『難しいよ』と言われたのに。


(どうしてもっと簡単な生き物にしておかなかったんだろう。そもそも、何も飼ったことのない時点でレンタルなんて安易にしなけりゃ良かったんだ……)


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