島…君をレンタルしたいカナ
彼の指がマフラーを外し、チョロの体を触ってる。
まるで私の見た妄想夢のように丹念に身体中を調べあげる。

私は調べられているチョロのことをずっと気にして見てた。
幼い子供のように台の上に顎が乗りそうなくらい身を低めて、頑張れ、頑張れ…と心の中で祈ってばかりいた。


そのうち店長さんがハッ…と短い息を吐き出し、チョロの体から手を離した。
心配そうに見上げると、こっちに目線が向けられた。


ドキッとして彼を見守る。
何を言われるのかと思い、胸をドクドクと鳴らしながら耳をすませた。


「……大丈夫。これは冬眠状態に入ってるだけだよ」


その言葉を聞いた時、（トウミン？）と言葉が漢字にならなかった。
ぼんやりとしてたせいか、彼の顔が少しだけ近付いてきた。


「分かる？冬眠してるだけ」


もう一度言われ、ハッと我に戻った。

「トウミン」が「冬眠」だと分かり、気の抜けたようにコクッと首を縦に振った。

黒縁メガネをかけた彼はふわっと優しく微笑み、「だから大丈夫」ともう一度教える。

それから小さなケージの中にチョロを入れ、四角い板のようなものをケージの壁に引っ掛けた。


「パネルヒーターを付けたケージの中で少しずつ体温を上げてやれば目覚めるから。放っといても二、三日に一回は目が覚めて動くんだけどね」


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