島…君をレンタルしたいカナ
お礼を言われる様なことは何もしてない。
私たち家族はルール違反を犯しただけ。


「いや、つまり、名前を付けてくれるほど家族中で可愛がってくれたんだよね。……チョロか。確かにこの子はチョロって感じの子だよな」


分かると言って堪えきれなくなったのか、可笑しそうにクスクスと笑う。
メガネの奥の瞳が細くなり、唇から白い前が見えてた。


「怒らないんですか?」


勝手に名前を付けたのに。
部屋を寒くし過ぎて冬眠にまで追い込んだのに。


「怒る?どうして?君も家族もシマリスを大事にしてくれたんだろう?だからこそ可愛い名前も付けられたんだろ。それなのにどうして怒る?俺はそこまで短気じゃないよ」


かなりの心配性だけどね…と自己弁護をし、「それじゃそろそろ帰る?」と言いだした。



(もう?!)


そう思ったけど口には出せず、渋い顔のまま頷いたらーー。


「でも、まだ雪も降ってるし、良ければもう少し話さない?君の写メ付きメール、毎日面白かったよ。
楽しくレンタルしてる様子が伺えて良かったと思ってたんだ。
送ってきた以外にも写真ある?良かったら見せてくれる?」


黒縁メガネの奥の瞳がキラッと光ったように感じた。

「はいっ!」と必要以上に大きく答えて、嬉々としながら写メを見せた。


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