島…君をレンタルしたいカナ
鳥かごの側で泣く女。

どう考えてもおかしいでしょうけど。


「歯痒いのよ、私……あんな男に本気になってた自分が呪わしい……」


マコト君も許せない。だけど、彼の優柔不断さを見抜けなかった自分も許せない。


グスリグスリと涙と鼻水を拭ったり啜ったりしながら、オウムの擬音を聞く。
この鳴き声が収まるまで、一緒に側で泣いていたい気分だ……。




「誰だ、ヨーコを外へ出したのは…」


ドアを開ける音がしたと同時に、男性の低い声が響いてきた。オウムの鳥かごの前で泣いてた私は、その声の主を振り返った。



「ん…?」


鼻水と涙に塗れた私に気づき、建物の中から出てきた人が立ち止まる。

黒縁のメガネに黒いエプロン。
胸に描かれたロゴには『PET HOUSE』の文字が見え……。


「どうかなさいましたか?お客様」


多少顔を引き攣らせた男性が声をかけてきた。
それが、彼との初対面での出来事だ。



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